猫を飼っているご家族、またこれから飼おうと考えている方にぜひとも知っておいてもらいたい病気の1つとして猫の腎不全が挙げられます。

というのも、あるペット保険会社から2019年にされた報告の中で、猫の診療費保険請求ランキングの第一位が慢性腎臓病と紹介されており、さらに1頭が1年間に動物病院が受診した回数も15.0回だったそうです。

そのくらい多くの猫が患ってしまう腎臓病について、今回はお話ししたいと思います。

<慢性腎臓病や腎不全とは?両方とも同じ意味?>

猫の慢性腎臓病とは、3ヶ月以上の間、腎臓にダメージが加えられているかあるいは腎臓の働き(=腎機能)が弱くなっている状態のことを示します。

動物病院にて血液検査を実施した際に、腎臓がどのくらい身体から尿を介して老廃物を排出できているかを評価する項目として、血液中のクレアチニンという物質の濃度をチェックします。

簡易的には、このクレアチニンの値を十分な間隔を空けて複数回測定した際に上昇していることを確認して慢性腎臓病と診断されます。

一方で腎不全とは、腎臓の働きの大半を失ってしまった状態を指します。

そのため、慢性腎臓病が進行してさらに腎機能が低下した際に腎不全と呼ばれるようになるのです。

<慢性腎臓病の症状とは?>

初期の慢性腎臓病では、あまり目立った症状が見られないことが多いため、健康診断を目的に実施した血液検査で発見されることがあります。

しかし、慢性腎臓病を発症してからある程度時間が経ち、進行した状態では以下のような症状が

見られます。

・尿の量が多い

・飲水量が多い

・尿の色が普段よりも薄く見える

・食餌量が減った

・嘔吐や下痢をするようになった、その頻度が増えた

・痩せてきた など

このように、慢性腎臓病により引き起こされる症状は様々なものが考えられます。

さらに慢性腎臓病が進行し、腎機能のほとんどが失われた腎不全の状態だと、

・尿の量が極端に減った

・元気や食欲がない

・さらに嘔吐や下痢が目立つようになった など

というように、腎機能が低下し始めた頃の状態から症状が変化することがあります。

<どんな治療があるの?>

治療をしていく上で大事なのが、壊れてしまった腎臓は原則的には元どおりにならないということです。

とくに慢性腎臓病のように時間をかけてゆっくりと進行していく場合には、失った腎機能は取り戻すことができません。

猫の腎臓病治療用のお薬の多くが、腎機能が低下していくのを防ぐ・遅らせることを目的として処方されます。

猫の腎臓の働きの中で重要なことは、体内の水分量を調整し、老廃物を除いた綺麗な水分を身体に残すという作用があります。

そのため極力綺麗な水は再度体内に吸収しようとするため、猫の腎臓は尿を濃く作る働きに富んでいます。

しかし腎機能が低下し始めると、水を再吸収する能力が弱っていき、本来は残したい水分までも尿として排出してしまうようになっていきます。

さらに猫はもともとお口から水分をあまり摂取しない動物です。

そのため、慢性腎臓病を持つ多くの猫では脱水ぎみになっていきます。

この脱水を防ぐために、慢性腎臓病の猫は動物病院に通い、定期的に静脈や皮下へ点滴を打つことで腎臓病の進行を遅らせているのです。

ちょうど人の腎不全患者さんが透析をしに病院に通っているのと同じようなものだと考えてください。

そのほかにも腎臓は体内のミネラルのバランスを調整する作用を持っているため、慢性腎臓病の猫ではこのバランスが崩れてしまうことがあります。

その場合は点滴の種類を変えたり飲み薬でミネラル摂取を調整します。

<まとめ>

多くの猫が患う可能性がある慢性腎臓病。

とくに高齢化が進んでいる猫においては、なかなか避けられない病気です。

初期段階で症状に気づくことは難しいため、シニア期に入った猫ではぜひともかかりつけの動物病院で健康診断を受けさせてあげましょう。

早期に発見できれば腎臓病と付き合いながらも長生きをさせてあげることができると思います。

  

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