猫と一緒に生活していると、発生することが多いとされるのがおしっこのトラブルです。

これまで、1日にしている尿の量が増えるケースでは腎不全や甲状腺機能亢進症、糖尿病など、また全く尿が出ないケースでは尿道閉塞という病気が多いことをご紹介してきました。

今回は、おしっこの回数が増えたり、尿に血が混ざる(=血尿)場合に疑われる膀胱炎について解説していきたいと思います。

<猫の膀胱炎の原因とは?>

猫の膀胱炎は、様々な理由から生じるため、原因が特定できるものは40%程度と考えられています。

比較的特定しやすい原因としては、細菌が膀胱内で増えることによる細菌性膀胱炎、膀胱結石の刺激による膀胱炎、あるいは生まれもって膀胱や尿路系に解剖学的な異常(奇形)が存在することで生じる膀胱炎などが挙げられます。

一方で、考えられる原因が否定され、原因の特定が困難な猫の膀胱炎を“特発性膀胱炎”と呼びます。

この特発性膀胱炎は、環境の変化やストレスによって生じるとも考えられており、猫自身の精神的な治療が必要になることもあります。

<膀胱炎を発症した時に多い症状とは?>

原因は様々ですが、膀胱炎を発症すると多くの場合、以下に挙げるような症状が見られます。

・トイレに行く回数、おしっこの回数が多い(=頻尿)

・尿に血が混ざる(=血尿)

・おしっこをしている時間が長い

・トイレ以外の場所でおしっこをしてしまう

・おしっこをする時に鳴く など

とくに飼い主の立場から見つけやすい異変としては、頻尿や排尿時の鳴き声でしょう。

膀胱炎になると普段と同じように大量のおしっこを膀胱に貯めることができず、トイレに何度も行ったり、トイレにたどり着く前に尿を漏らしてしまいます。

また、膀胱炎に伴う痛みが生じている場合、おしっこをしながら鳴き声を上げることがあります。

一方で、トイレに猫砂を使用しているとその猫砂の種類によっては血尿や尿に血が混ざった時、色の変化に気づきにくいことがあるため注意しましょう。

<膀胱炎の治療は?>

膀胱炎となった原因によって治療はさまざまです。

動物病院にて尿検査を実施し、尿検査の結果から尿の中に細菌が増えているなどの所見が得られた場合は細菌性膀胱炎が疑われます。

細菌性膀胱炎に対しては、抗生物質の投与が一般的な治療として選ばれます。

ただし、近年人医療・動物医療ともに耐性菌の発生が問題視されており、むやみやたらな抗生物質の服用はあまり望まれていません。

そのため、採取した尿から細菌を培養する検査や各抗生物質の反応を調べる感受性試験を合わせて実施する機会が増えています。

耐性菌の増加は、猫にとっても人にとっても重要な問題です。

獣医師からそれらの検査を勧められた時には是非とも検討しましょう。

また、膀胱結石がエコー検査やレントゲン写真で見つかった場合にはそちらの治療を行います。

尿検査の結果も踏まえてストラバイトという成分が疑われる場合には食餌療法で溶かすことができるかも知れません。

しかし、シュウ酸カルシウムという成分が疑われた場合には基本溶かすことができず、外科的に摘出する必要があります。

さらに治療が難しいのが原因が特定できない特発性膀胱炎です。

症状が比較的軽度のものであれば無治療であっても数日後に良くなることがあります。

その一方で、一度良くなっても繰り返し再発しやすい傾向にあります。

生活環境やストレスが発症の要因になっているとも考えられており、特発性膀胱炎対策用の食餌を与えたり、ストレスを感じる理由を取り除いたり、ストレスを和らげるためのサプリメントやお薬で治療していきます。

<まとめ>

猫の膀胱炎は、トイレにまつわる行動の変化からご家族の方が気付きやすい病気です。

しかし、その半数以上は原因が特定しにくく、確実な治療法が見つからずに食餌療法や生活環境の改善を行なっていくことも多いという特徴があります。

 

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