多くの方が糖尿病という病気に関して一度はその名前を聞いたことがあり、さらにはある程度その病態についてご存知かと思います。

人の糖尿病は1型、2型、妊娠糖尿病、その他の特定の機序あるいは疾患によるものの4つに分類されることが一般的です。

血液中の糖分を細胞の中に吸収させることで血糖値を下げるホルモンであるインスリンが、様々な理由から分泌されなくなったり、分泌されてもうまく作用できなくなることで糖尿病を発症します。

この糖尿病が実は猫においても比較的多く見られることがあり、今回はその糖尿病についてご紹介していきます。

<猫の糖尿病とは?糖尿病になると猫ではどんな変化があるの?>

猫の場合、多くのケースで人の分類でいうところの2型糖尿病に当たります。

すなわち、インスリンは分泌されるものの、うまく全身でその作用を効かせることができないのです。

インスリンがうまく作用できない状況では、次のような変化が見られます。

・尿の量が増え、お水もよく飲んでいる(=多飲多尿)

・尿の匂いが変わった

・ご飯をよく食べているが体重が減ってきた、痩せてきた

・血液検査で血糖値が高い

・尿検査で尿糖が多く出ている など

とくに最後の2つの項目はご自宅で何らかの変化があり、動物病院で検査をした際に見つかるため、糖尿病の診断項目に含まれます。

もっとも多く見られる症状は、1つ目に挙げた多飲多尿でしょう。

インスリンがうまく作用せず血糖値が高い状況が続くと、尿中にも糖分が排出されるようになります。

すると、糖を多く含んだ尿は浸透圧が高くなることで身体の中から水を引っ張ってくることで尿量が増えるのです。

また、インスリンはただ血糖値を下げるだけでなく、身体がエネルギーとして糖分を必要とした時に血液中から細胞内へ血糖を移動させる働きを持っています。

インスリンが十分に効かないと細胞内へ血糖が運ばれず、食べても食べてもうまくエネルギーを使うことができないため、猫の身体がいつの間にか痩せてしまうのです。

<猫の糖尿病の診断は?>

先ほどお話しした通り、動物病院での血液検査・尿検査が診断をする上で重要になります。

ただし、猫は興奮すると一時的に血糖値が上がりやすい動物です。

そのため、症状があまり目立たない状況で血糖値が高くても、即座に糖尿病と診断されるわけではありません。

糖化アルブミンやフルクトサミンといった、直近数週間の血糖値を反映した特別な血液検査がありますので、その結果を踏まえて診断されるケースが多いでしょう。

<糖尿病の治療は?>

糖尿病の治療といえば、まずイメージされるのはインスリンの投与ですよね。

猫の場合も、多くのケースでインスリンの投与が必要になります。

最初は動物病院で入院させながらインスリンの種類や量を調整しつつ、比較的安定した血糖値が得られるようになってからご自宅でインスリンを打ってもらうことが多いかと思います。

いきなり猫にインスリンの注射を打って下さいと言われてもなかなかできないことでしょう。

ほとんどの飼い主さんはインスリンの注射器自体を触るのも初めてです。

そのため、最初は動物病院の診察室で獣医師や動物看護師と一緒に模型などを使って注射の練習をします。

それでも何度か練習をすると多くの方が上手に打てるようになります。

また、猫の糖尿病の治療でもう1つ重要なのは食餌療法です。

糖尿病用の療法食がありますのでそちらを適切な量、決められた時間に与えていきましょう。

実は猫の糖尿病の中には、何らかの理由から一時的にインスリンが作用できなくなってしまったケースがあり、治療を続けることでインスリンの注射が必要なくなることがあります。

なので、糖尿病と診断されて一生注射を打たなければいけないんだ、とすぐに悲観的になる必要はないかも知れません。

<まとめ>

糖尿病は人と同様猫でも発症するとインスリン注射による治療が必要となり、飼い主さんの負担が比較的大きい病気です。

しかし、治療を適切に行なうことで治る可能性もあるため、諦めずに頑張ってみましょう。

また、肥満体型の猫の方が糖尿病になることが多いため、やはり普段から適切な体型を維持できるよう栄養管理しておくことが大切です。

 

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