皆さん自身、あるいは皆さんのご家族や周囲に高血圧の方はいませんか?
高血圧になると普段の生活の中でも色々な支障が生じてくることでしょうし、様々な病気の原因にもなり得るため、誰もが避けたいものだと思います。
そんな高血圧ですが、猫も高血圧になりやすいということはご存知でしょうか?
今回は高血圧と猫に関するお話をしていきたいと思います。
<猫の高血圧とは?>
それではまず、猫における高血圧についてご紹介したいと思います。
一般的に、最高血圧(=収縮期血圧)が150mmHgを超えると、猫でも高血圧と定義されます。
しかし、血圧を動物病院にて測定しようとすると、猫は興奮や緊張してしまうことで容易に血圧が上昇して150mmHgを超えることがあります。
ちょうど人でも医療機関で血圧測定をするときに高い値が出やすい白衣高血圧という現象があり、猫でも同様の理由で起きるのでしょう。
動物病院の中だけで血圧が上がるのであれば基本的には問題ありません。
ただし、猫でも日常的に高血圧の状態が続くと人と同じように、身体のいたるところで問題が生じてきます。
<高血圧の猫はどこが悪くなるの?>
動物病院で血圧を測定しても、緊張すると容易に高い血圧が出ることはご紹介した通りです。
そうはいっても、上の血圧が180mmHgを超えてくると様々な臓器にダメージが生じてくると報告されています。
特にダメージが出やすい臓器を以下に示します。
・眼
・脳
・腎臓
・心血管系
これら4つの臓器はどれも身体にとって大事な臓器であり、いつでも血液が十分に流れるよう調整されています。
例えば、高血圧の猫で多いのは眼になんらかの異変が生じて突然失明してしまうことです。
高血圧の影響で、眼に血液を送る血管が切れてしまって眼内・眼底出血したり、光を感じる網膜が剥がれてしまう網膜剥離を起こし、目が見えなくなるのです。
また、高血圧の状態では血液を全身に送るポンプの役割を果たしている心臓に対しても大きな負担がかかってしまいます。
常に負担がかかった心臓は、高血圧に負けないよう血液を送り出し続けた結果、その筋肉が分厚くなり心筋症のようになってしまいます。
<猫が高血圧になってしまったらどうしたらいいの?>
動物病院で高血圧の疑いがあると診断された場合には、獣医師の指示に従いながら定期的に血圧をチェックしてもらいましょう。
先ほどご紹介したような全身の臓器へのダメージが明らかな場合を除くと、高血圧を確認したと同時に治療が始まることは少ないです。
数週間、あるいは1〜2ヶ月後にもう一度血圧測定を行ない、それでも同様かあるいはさらに高い血圧を確認した場合には原因となる病気がないかを調べ、血圧を下げる治療を検討していきます。
血圧が高くなる病気が背景にあった場合にはその治療から始まります。
甲状腺機能亢進症や腎不全など、中高齢の猫に発症しやすい病気が多いでしょう。
背景にあった病気の治療をしても十分に血圧が下がらない、あるいは原因となる病気が見当たらない高血圧であれば降圧薬の内服が必要になります。
降圧薬は人と同様に、血管を広げてあげることで血圧を下げるお薬です。
まずは効果の比較的弱いお薬で、かつ少ない量から始めることで、いきなり血圧が下がって低血圧になってしまうことを避けます。
また、高血圧と診断された猫との生活で大切なのは食生活に気をつけ、過剰な興奮を避けることです。
特に食餌に関しては、他の病気の有無や年齢によって推奨されるものが異なるため、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
<まとめ>
意外かもしれませんが、猫でも高血圧に悩まされることが比較的多くあります。
そして、症状が出る頃の猫の血圧は相当高く、失明や心臓病などが突然発症してしまう恐ろしい状況が控えています。
シニア期に入った猫であれば、一度は血圧測定してもらうことをオススメします。